ご安全に。
石見銀山と粉じんの話をする機会がありました。
大田市の石見銀山は、11年前に世界遺産に登録されました。400年程前は、20万人の人が住み銀山の町として日本でも有数の工業都市でした。
そして、人間と自然が一体となった世界でも珍しい緑豊かな銀山でもあります。
3月頃の石見銀山周辺は、梅の花がいっぱい咲き見事なものです。
当時の鉱夫たちは、梅干しの果肉を挟んだ布をマスクとして使っていました。果肉で粉じんやススをろ過して吸っていたんです。
周辺に梅の木が多いのは、鉱夫たちの知恵と健康維持のためだったのです。
それでも多くの鉱夫は、20歳頃にじん肺を発症し30歳まで生きられなかったようです。
20歳頃から寝たきり状態になると香木の香りを嗅ぎながらあの世へと旅立つのです。
その名残でしょうか、石見銀山周辺には、たくさんの香木が自生しています。
梅の木と香木は、当時の厳しい労働環境とじん肺の恐ろしさを伝えてくれているようです。
石の粉を吸ってじん肺になることが解明されたのは明治に入ってからでした。
それからは、教育と環境改善が進みじん肺患者も少しずつ減少してきました。
粉じん作業従事者は、教育で正しい知識を得て、粉じんを吸わないことが大切です。
定年後に、じん肺を発症されることが無いように一人ひとりの理解と粉じん対策への協力が必要です。
人生100年の時代と言われています。最後まで健康な身体を維持されてください。
▽タイトル「ユリの花」

写真撮影は、私の兄 三浦秋男氏です。
▽田中安全衛生コンサルタント事務所